AI・ノーコード・AEOの時代でも、成果を左右するのは“基本”。
最初に整えるべきは、ツールでもデザインでもなく「目的の明確化」です。
最近、経営者の方から「ホームページを新しくしたい」「デザインが古くなってきた」という相談をよく受けます。
ところが話を深く掘り下げていくと、意外と多いのが“目的が曖昧”なまま制作を始めてしまうケース。
実はここに、成果が出ないWebサイトの共通点があります。Webサイトの基本は“作ること”ではなく、“伝えること”。
誰に・何を・どう伝えたいのか――ここを明確にするだけで、構成もデザインも、後からの運用も驚くほどスムーズになります。
Webサイトは「誰のため」にあるのか
まず考えたいのは「誰に見てもらうか」という視点です。
制作者のためでも、経営者の満足のためでもなく、サイトはお客様の知りたい情報を、わかりやすく届ける場所です。
SNSやチラシとは違い、Webサイトは24時間働く“会社の顔”。
だからこそ、最初に「誰に伝えたいか」を定義しておくことが何より重要になります。
ここが曖昧なまま制作を進めると、どんなに見た目を整えても“伝わらない”サイトになります。
たとえば採用目的なのか、商品販売なのか、信頼構築なのか。
目的によって伝える情報の優先順位も、ページの構成もまったく変わってくるのです。
目的を整理すると、構成が見えてくる
採用を目的とするなら、働く人の表情や会社の雰囲気を伝えることが大切です。
商品販売なら、メリットをわかりやすく示し、購入までの導線を最短化すること。
企業の信頼を高めたいなら、実績やお客様の声、代表メッセージを丁寧に見せることが鍵になります。
つまり、「目的 × ペルソナ」が明確になれば、どんなページをどんな順番で作るべきかが自然と見えてきます。
この段階で迷いが減ると、制作スピードも上がり、運用コストも抑えられます。
“全部入れたい”サイトは、誰にも刺さらない
よくあるのが、「どの人にも見てほしい」という発想です。
ですが、結果として誰にも刺さらないサイトになってしまう。
情報を詰め込むよりも、整理し、削り、順番を整えること。
それがWeb制作の基礎であり、伝わるデザインの第一歩です。
見出しの並び、写真の順序、ボタンの位置――こうした小さな積み重ねが、閲覧者の行動を導きます。
“足し算”より“引き算”。それがプロの設計思考です。
目的が定まると、運用の判断が早くなる
公開後も、「この更新は誰のため?」「どんな行動を促したい?」といった問いを立てることで、迷いなく改善を続けられます。
結果として、更新作業やSNS発信もスムーズに回り始める。
目的 → 構成 → デザイン → 運用という流れを意識するだけで、制作の効率と成果は格段に変わります。
ご相談ください
Web制作の基礎は、最新ツールでもデザインの流行でもありません。
まずは「何のために作るのか」を整理すること。
この“目的の明確化”がすべての出発点です。
次回は「トップページの構成と導線設計」について、具体的な設計の考え方をお伝えします。
「何をどう伝えればいいか分からない」――そんな段階からでも構いません。

