WebサイトやSNSの運用を外注に任せきりにしていると、ノウハウが社内に残らず、発信も続きません。
大きな組織でなくても、「小さくても続けられるWeb運用チーム」を社内で育てることはできます。
今回は、外注頼みから一歩進んで、社内に「運用文化」を根づかせる考え方と実践のポイントをお伝えします。
SNSとWebサイトの役割の違いと、連携させることでブランド発信が強くなることをお話ししました。
役割を整理した次のステップは、「それを動かす人と仕組み」を社内に持つことです。岐阜や名古屋の中小企業さんでも、「更新したい気持ちはあるけれど、担当者がいない」「任せられる人が決まっていない」という声をよく聞きます。
そこで今回は、外注任せから一歩進んで、社内にWeb運用チームを育てる方法を整理してみます。
外注だけでは「育たない」理由
外部の制作会社やフリーランスに依頼すること自体は、とても良い選択です。
専門性や作業スピードの面で、大きな力になってくれます。
ただし、外注だけに頼っていると、次のような課題が生まれやすくなります。
- 更新のたびに依頼が必要で、スピードが落ちる
- 現場の細かな変化や「今伝えたいこと」が反映されにくい
- 担当者が変わると、過去の経緯や意図が分からなくなる
日々の気づきやお客様の声、営業の現場で起きていることを一番よく知っているのは、やはり社内のメンバーです。
外注だけで完結させるのではなく、「現場の温度感」を持った社内チームが運用に関わることが、長い目で見ると大きな差になります。
社内運用チームの最小単位は「2人」から
よくあるのが「〇〇さん、Webもお願いね」と、他の業務の合間に1人へ丸投げしてしまうパターンです。
これでは、忙しくなった瞬間に更新が止まってしまいます。
おすすめは、最小でも2人でチームにすることです。
例えば、次のような分担が考えられます。
- 発信担当:日常の出来事やお知らせの「たたき台」を作る人
- 確認・分析担当:文章チェックや写真選定、数字の振り返りを行う人
役割を分けることで、「一人で抱え込まない仕組み」になります。
完璧な体制でなくても、「この2人が中心」という軸があるだけで、継続しやすくなります。
チームが機能するための3つの仕組み
人を決めるだけでは、チームは動きません。
続けられるチームには、次のような「仕組み」があります。
1.月1回の「定例ミーティング」を決める
毎月1回、30分でも良いのでWeb運用の時間をカレンダーに固定します。
そこで行うのは難しい会議ではなく、次の3つです。
- 先月の数字と反応の振り返り
- うれしかったこと・気づきの共有
- 来月の更新テーマと担当決め
2.「更新カレンダー」で見える化する
どの週に、誰が、何を発信するのかを簡単なカレンダーにしておきます。
紙でも、スプレッドシートでも構いません。
「今週はこのテーマで1本ブログを書く」「この日はSNSで写真を1枚投稿する」といったレベルで十分です。
3.小さな成功体験を共有する
アクセスが少し増えた、問い合わせで「ホームページを見ました」と言ってもらえた――。
こうした小さな出来事を、チーム内でしっかり共有することが大切です。
「やってよかったね」という感覚が、次の一歩を支えます。
社外パートナーとは「共育」の関係をつくる
では、外注は不要なのかというと、決してそうではありません。
むしろ、「社内チーム × 社外パートナー」の組み合わせが最も強い体制になります。
例えば次のような役割分担が考えられます。
- 社内チーム:日常の発信、写真撮影、ネタ出し、一次原稿づくり
- 外部パートナー:戦略設計、デザイン調整、分析レビュー、改善提案
社外パートナーを「作業を丸投げする相手」と考えるのではなく、
「一緒に運用を育てていく伴走役」として位置づけることで、ノウハウが社内にも残りやすくなります。
「Web運用はチームの文化」という視点を持つ
Web運用は、特定の誰かだけが頑張る仕事ではありません。
現場のスタッフ、お客様に接する人、経営者――それぞれの視点が集まってこそ、深みのある発信になります。
大事なのは、「発信すること」そのものを会社の文化にしていくこと。
完璧を目指すのではなく、「続けながら少しずつ良くしていく」意識があれば十分です。
次回予告|成果を循環させる「持続的な運用の仕組み」
第12回では、これまでお話ししてきた内容を踏まえて、
「改善 → 発信 → 分析」をぐるぐる回し続けるための仕組みづくりについて整理します。
一度きりの施策で終わらせず、成果を循環させるWeb運用の考え方をお伝えします。
ご相談ください
「社内にWeb担当者を育てたい」「外注と社内運用のバランスに悩んでいる」――そんなときは、ぜひご相談ください。
自社の規模や体制に合ったWeb運用チームづくりと、無理なく続けられる運用の仕組みを一緒に考えていきましょう。

