連載|地方企業のリアルIT相談室|第24回
一夜漬けとGoogle、そして生成AI。
ちょうど今、中学生や高校生はテスト期間なんですよね。
学生の頃って、テスト前日は一夜漬けでした。
教科書を広げて。ノートを見返して。
「ここ出るぞ。」なんて言いながら、とにかく丸暗記。
そして試験が終わったら、驚くほど忘れる。
今思えば、あれって何だったんだろうなと思ったりします。
Googleに救われた時代
社会人になると、今度はGoogleの出番でした。
分からないことがあれば、とりあえず検索してみる。
エラーメッセージをそのまま入力してみる。
誰かのブログに助けられる。
僕自身、何度Googleに救われたことか。
ナレッジマネジメントに振り回された時代
その後、ナレッジマネジメントが流行った時代もありました。
社内規程を要約して検索できるようにする。
取引規程を整理する。
取引先の履歴を蓄積する。
営業日報を共有する。
「知識を共有すれば会社は変わる。」
そんなことが本気で語られていた時代でした。
でも、現場は本当に大変だったように思います。
誰が更新するのか。誰が整理するのか。検索しても欲しい情報が出てこない。
結局、「○○さんに聞いた方が早い。」なんてことも少なくありませんでした。
生成AIに少し斜に構えていた
その後にはWatsonのようなAIブームもありました。
期待ばかりが先行して、実際には答えがブレたり、チューニングに苦労したり、現場ではその修正に時間を取られたり。
だから正直、今回の生成AIも最初は少し斜に構えていました。
また始まったな。
そんな感じだったんです。
でも、今回は少し違っていました。
進化のスピードが速すぎる
5年前には想像もしなかったことが、2年前には話題になり、半年前には仕事で使われ始め、1か月前の常識がもう古くなる。
そして、ここ数日でも新しい機能やサービスが次々に出てくる。
正直、現場の人間の方が追いついていないのかもしれません。
だからこそ、原点回帰している
最近では、会議の最中にスマートフォンを見ながら答えを探し、それを自分の意見のように話す場面も珍しくなくなりました。
AIで下書きをしたと正直に話す人の方が、むしろ誠実なのかもしれません。
大学でも、生成AIを前提にした評価方法の見直しが始まっているそうです。
長い論文を書くことよりも、その場で考え、ペンとノートで書くこと。
そして口頭で説明すること。
答えではなく、「どう考えたのか」を重要視します。
なんだか原点回帰しているような気もしますね。
企業も同じなのかもしれません。
学歴や資格だけではなく、どう考えるのか。どう行動するのか。一緒に仕事をしたいと思える人なのか。
そんな人間らしい部分が、もう一度見直され始めているようにも感じます。
思っていた未来は、もう始まっている
そして今では、AIエージェントが会社の業務を担う話も現実味を帯びてきました。
メールを書いたり、調査をしたり、資料をまとめたり、問い合わせに対応したり。
そのうち、アバターを持ったAIエージェントがネットの中で働き、お金を稼ぐ時代も来るのかもしれません。
少し前なら、完全にSFの世界だった話です。
朝、車に乗る。
エンジンを掛ける。
「今日は10時から打ち合わせです。」
「渋滞を考えると、このルートが最適です。」
ナビは目的地をセット済み。
途中のスタバでは、いつものコーヒーをモバイルオーダー。
少し前なら、映画のJARVISみたいな世界だと思っていました。
でも今は、その一部をもう体験しています。
思っていた未来は、案外もう始まっているのかもしれません。
未来は昔の延長線上にある
そういえば、Googleのサーバーの話題にワクワクしていた頃もありました。
検索という仕組みが世界を変えるなんて、当時は想像もしていませんでした。
それが今では、SHARPがAIサーバー事業に参入する時代です。
そして僕自身も、AIを活用したサービスを展開し、AIサーバーに関わる仕事をしています。
昔は検索を支えるサーバーに驚いていたのに、今はAIを支える側にも関わっている。
未来って、ある日突然やってくるものじゃなくて、昔の延長線上にあるのかもしれません。
使いこなすより、楽しむ
AIに感情はあるのか。経営まで任せられるのか。
正直、答えはまだ誰にも分かりません。
でも、昭和から平成へ。インターネットが普及して。Googleが当たり前になって。令和には生成AIの時代になって。
こうして変化の真ん中に立ち会えていること自体、案外面白いことなのかもしれません。
だから、無理に使いこなそうとは思っていません。
置いていかれないように必死になるより、
また新しいのが出てきたな。
今度は何ができるんだろう。
これもブログのネタになるな。
そんなふうに、少しワクワクしながら付き合っていけたらいいなと思います。
何をするかより、誰と組むか
そのうち、僕より僕のアバターの方が稼ぐ時代が来るのかもしれません。
もしそうなったら、ちょっと複雑だけど(笑)。
でも、それも含めて面白い時代なんじゃないでしょうか。
一夜漬けで丸暗記していた時代。Googleで検索していた時代。そして生成AIと付き合う時代。
道具は変わり続けています。
でも最後に残るのは、人なんだと思います。
誰を信じるのか。誰と一緒に仕事をしたいのか。どう考えるのか。
実は昔から、僕の中にはひとつのポリシーがあります。
何をするかより、誰と組むか。
どんなに優れた技術が出てきても。
どんなに便利なAIが登場しても。
最後は、「この人と一緒にやりたい」と思えるかどうか。
そこは、きっと変わらないのでしょう。
変化を怖がるより、少し楽しんでみる。
新しいものを否定するより、まずは触ってみる。
そして、「何をするかより、誰と組むか。」を忘れない。
そんな時代の歩き方も悪くないのかもしれません。
……なんてことを、今日も現場を走りながら考えていました。
