連載|地方企業のリアルIT相談室 第26回
「なんか変なんです」から始まる一日。
最近の相談って、いきなり電話がかかってくるわけではありません。
実は、その前に皆さん結構頑張っているんです。
Googleで検索してみる。
YouTubeで調べてみる。
ChatGPTに聞いてみる。
AIに画面を見せてみる。
「この設定を確認してください。」
「キャッシュを削除してください。」
「このボタンを押してください。」
言われた通りにやってみる。
それで解決すれば、それが一番です。
でも、そう簡単にはいかないこともあります。
「途中までは良かったんだけど……。」
「余計に分からなくなっちゃって。」
「もう何をしたのか自分でも分からないです。」
そんな時に電話が鳴ります。
「玉田さん、なんか変なんです。」
Instagramにログインしようとすると別のアカウントが表示される。
突然、Microsoftを名乗る警告画面が現れる。
会社のホームページを開いたら、「このドメインは利用できません」といった見慣れない画面が表示される。
メールの送受信がうまくいかない。
マルウェアの警告が出る。
どれも最初の一言は、
「なんか変なんです。」
でした。
ITの仕事というと、難しい専門知識を使ってパソコンを直す仕事だと思われることがあります。
でも実際は少し違います。
まず話を聞くこと。
何を調べたのか。
どこまで試したのか。
どんな画面が出たのか。
一つずつ状況を整理していく。
探偵のような仕事なのかもしれません。
「玉田さんって、すぐ原因が分かるんですね。」
そう言われることがあります。
でも正直に言うと、最初からできたわけではありません。
パソコンをクラッシュさせたこともあります。
設定を間違えて冷や汗をかいたこともあります。
バックアップの大切さを身をもって学んだこともあります。
若い頃は、本当にたくさん失敗してきました。
お客様の何十倍も失敗してきたと思います。
だから今、「たぶんこれだな」と思えるんです。
昔の自分が同じ失敗をしているから。
「あ、そのエラーね。昔やったな。」
「その操作、昔やって青ざめたな。」
「それ、徹夜で復旧したことがあったな。」
そんな経験の積み重ねです。
だから、電話をいただいてパッと直ることがあります。
でも、それは10分で身についたものではありません。
何十年も失敗して、遠回りして、痛い思いをしてきたからこそ、今は少しだけ最短距離が見えるようになっただけなんです。
AIもGoogleも、とても便利な道具です。
自分で調べて解決できるなら、それは素晴らしいことだと思います。
でも、最後に必要になるのは、「今、この会社で何が起きているのか」を一緒に整理して考える人なのかもしれません。
今日もまた、一本の電話が鳴ります。
「玉田さん、なんか変なんです。」
さて、今日はどんな”なんか変”が待っているんだろう。
そんなことを思いながら、僕はまた現場へ走ります。
