連載|地方企業のリアルIT相談室 第45回
AIで無くなる仕事、奪われる仕事、残る仕事
日曜日になると、毎週一週間を振り返っています。
今週もいろいろな現場を回りました。
ホームページ制作のコンペに参加した日もありました。
話を聞いているうちに、「今回は比較のための提案だったのかな」と感じる場面もありました。
別の日には、パソコンが何度もBitLockerの回復画面になってしまうという相談で
お客様のところへ伺いました。
原因はSSDの劣化でした。
ホームページの相談ではなくても、「ちょっと見てもらえますか」と
声を掛けていただけるのは、本当にありがたいことです。
そして今週、一番印象に残ったのは、AIの相談が当たり前になってきたことでした。
「社内でAIを使い始めました。」
「事業計画書をAIで作ってみました。」
「企画書もAIに考えてもらいました。」
「動画もAIで作っています。」
そんな話を聞く機会が本当に増えました。
少し前までは、「AIを使ったことがありません」という会社がほとんどでした。
でも今は違います。
すでにAIを使っている会社の方が多いくらいです。
その中で、お客様からこんなことを言われました。
「玉田さんの仕事って、AIにとって代わられる仕事ですよね?」
少し前の僕なら、「まだそこまでは」と答えていたと思います。
でも今は違います。
「確かに影響は出ています。」
そう答えました。
僕は20年以上、ホームページ制作を仕事の中心にしてきました。
以前は会社の仕事のほとんどがホームページ制作でした。
文章を書き、構成を考え、デザインを作り、画像を生成し、HTMLやCSSを書き、公開して育てていく。
それが毎日の仕事でした。
ところが今では、AIが文章を書き、デザインを提案し、画像を生成し、HTMLやCSS、
プログラムまで作ってくれます。
制作時間は大きく短縮され、ホームページ制作は会社の仕事の中心から、
数ある業務の一つへと変わりました。
でも、今の現場を見ていると、本当の課題はそこではありません。
AIで作った事業計画書。
AIで作った企画書。
AIで作った動画。
見せてもらう機会が本当に増えました。
どれも見た目はよくできています。
でも、どこかで見たような内容だったり、その会社らしさが伝わってこなかったりするものも
少なくありません。
AIは「それらしいもの」を作るのが本当に上手です。
だからこそ、そのまま使ってしまうと、どの会社も似たような資料やホームページ、
動画になってしまいます。
そして、もう一つ気になっていることがあります。
AIが誇大に解釈した情報。
切り取られた短いリール動画。
真偽が曖昧なまま拡散される情報。
そうしたものが、本当の情報より先に広がってしまう場面を目にするようになりました。
企業にとっては風評被害につながることもあります。
そして、その影響は僕たちの仕事にも及んでいます。
「AIなら簡単にできる。」
そんな印象だけが広がることで、長い時間をかけて積み重ねてきた経験や技術、本当に考えることに
費やしてきた時間まで、簡単なもののように見られてしまうことがあります。
でも、本当の価値はそこではありません。
どんな言葉で伝えるのか。
誰に届けるのか。
その会社の強みは何なのか。
AIで作ったものを、その会社に合う形へ磨き上げること。
そこに、人の仕事があります。
もう一つ感じることがあります。
「AIを使っています」という会社は増えました。
でも、毎日の業務に深く組み込み、課金をして使い込み、試行錯誤を続けている会社は、まだほんの一部です。
無料版を少し触って終わる。
便利だと感じながらも、業務までは落とし込めていない。
そんな会社も少なくありません。
だから最近は、「AIを導入したい」という相談よりも、「AIをどう会社の仕事に活かせばいいか」を
一緒に考える時間の方が増えています。
ホームページ制作の割合は以前より減りました。
でも、その代わりに会社全体のITやAIについて相談される時間は確実に増えています。
変わったのは仕事ではありません。
求められる役割です。
AIが仕事を奪う。
そんな時代ではなくなりました。
AIをどう使い、本当の価値をどう伝えるか。
そこが問われる時代になったのだと思います。
来週もまた、現場では新しい相談が待っています。
その一つひとつと向き合いながら、AIでは置き換えられない価値を、
お客様と一緒につくっていきたいと思います。
