連載|地方企業のリアルIT相談室 第42回
AIは仕事の「中」に入ってきた。でも、現場は人が支えている。
最近、仕事の風景が大きく変わってきたなと感じています。
振り返ると、そのきっかけはコロナ禍だったように思います。
対面で当たり前だった打ち合わせはオンラインになり、会議はZoomやTeamsが日常になりました。
電子契約やクラウドサービスも一気に普及し、「会社へ行かなければ仕事ができない」
という考え方も大きく変わりました。
そして今、その変化はさらに次の段階へ進んでいます。
オンライン会議が終わると、AIが自動で要約や議事録を作成する。
決定事項や次回までの宿題まで整理され、「次はこれを進めましょう」と提案してくれます。
メールも、これまでのやり取りを理解し、「こんな返信はいかがですか」と候補を示してくれる。
営業ではスマートグラスを掛けるだけで、商談内容を記録し、報告書や議事録まで作成してくれる時代になりました。
少し前までは、自分からAIを開いて使っていました。
でも今は違います。
仕事をしていると、AIが自然と隣で動いている。
そんな時代が、もう始まっています。
これまでのITの進化とは、スピードが違う
このスピードには本当に驚かされます。
パソコンが会社へ普及した頃も、インターネットが当たり前になった頃も、
携帯電話やスマートフォンが広がった頃も、大きな変化でした。
でも、それぞれ浸透するまでには数年という時間がありました。
企業には準備する時間があり、少しずつ慣れていくことができました。
ところがAIは違います。
数年ではありません。
数か月、時には数週間で仕事のやり方そのものが変わっています。
昨日までなかった機能が、今日には標準機能として追加される。
Zoomにも、Microsoft 365にも、Google Workspaceにも、Adobeにも、普段使っているサービスに次々とAIが組み込まれています。
「AIを導入しよう」と考えている間にも、仕事道具のほうが先に進化しているのです。
この変化の速さは、これまで経験してきたITの歴史とは比べものになりません。
でも、モノづくりの現場はそう単純ではない
ただ、現場を回っていると、もう一つ強く感じることがあります。
それは、モノづくりの現場はそう簡単には変わらないということです。
AIが議事録を作っても、製品は完成しません。
メールを書いてくれても、機械の異音には気付けません。
図面作成を手伝うことはできても、加工精度や品質を保証するのは現場で働く人たちです。
材料を加工し、組み立て、検査し、お客様へ届ける。
その一つひとつに、長年培われた技術や経験、そして責任があります。
AIが得意なのは、情報を整理し、文章をまとめ、データを分析することです。
一方で、「今日はいつもと音が違う」「この材料は少し癖がある」「もう少し調整したほうがいい」。
そんな現場の感覚は、まだ人にしか分かりません。
AIに任せる仕事と、人が守る仕事
だからAIが仕事を奪うというより、仕事の役割が変わっていくのだと思います。
AIに任せられる仕事はAIに任せる。
その分、人は品質を守り、お客様と向き合い、考え、判断することに時間を使う。
それが、これからの会社の競争力になっていくのではないでしょうか。
最近はホームページ制作の相談だけではなく、「AIをどこまで業務に組み込めばいいですか」
「会社の仕事の流れを見直したい」という相談も増えてきました。
AIは、もう特別なものではありません。
仕事の中に入り込み、毎日の業務を少しずつ変え始めています。
だからこそ、AIに何を任せるのかではなく、人にしかできない仕事は何なのか。
そこを考えることが、これからの会社づくりで一番大切になってくると感じています。
