地方企業のリアルIT相談室 第63回

コンペに負けて、
今度はAIに仕事を奪われた

仕事がなくなったのではなく、働き方が変わってきた

少し前、大きな案件のコンペに負けた。

取れると思っていたし、実際に仕事が始まった後のことまで考えていた。

でも、他社に決まった。

コンペだから、負けることもある。

提案内容だったのか、金額だったのか、会社の規模だったのか。本当の理由は分からないけど、
こちらではなく別の会社が選ばれた。

それはそれで、かなり堪えた。

今度は、コンペですらなかった

ところが今度は、別の案件で僕が担当する予定だった開発の仕事がなくなった。

他社に取られたわけではない。

予算がなくなったわけでもない。

その部分はAIでできるから、人に頼まなくてもよくなった。

コンペに負けた次は、AIか。

さすがに、そう思った。

ただ、勘違いしてほしくないのは、これで僕の仕事が全部なくなったわけではないということだ。

開発がなくなっても、相談はなくならない

開発の仕事が一つ消えても、ITの相談は来る。

顧問先を回れば、ホームページの話だけでは終わらない。

パソコンのこと。

サーバーのこと。

セキュリティのこと。

業務の進め方。

AIを会社でどう使うか。

社員にどこまで使わせていいのか。

そもそも、何から始めたらいいのか。

そんな話を聞きながら、一緒に考える。

以前の僕は、相談を受けた後に、自分でシステムやホームページを作ることが多かった。

相談して、提案して、作って、納品する。

それが仕事の流れだった。

でも今は、その中の「作る」という部分を、AIがかなり手伝ってくれる。

場合によっては、お客さん自身がAIを使って作ることもできる。

今回のように、僕が担当するはずだった開発そのものがなくなることもある。

だからといって、相談までなくなるわけではない。

AIを使えば終わり、ではない

AIに何を頼めばいいのか。

出てきたものを、そのまま使っていいのか。

会社の情報を入力しても大丈夫なのか。

今使っているシステムと、どうつなげるのか。

その判断までは、簡単ではない。

僕の仕事は、作ることから、少しずつ別のところへ移っているのかもしれない。

何か立派な仕事に変わったという話ではない。

顧問先から電話があれば、パソコンが動かないということもある。

メールが届かない。

プリンターから印刷できない。

ホームページの文字を少し直したい。

そんな相談も普通にある。

AI戦略を考える日もあれば、パソコンの電源を入れ直して終わる日もある。

それが地方企業のIT担当だと思う。

建設現場へ行く日もある

最近は、ITの仕事とは別に建設現場の仕事にも行っている。

ヘルメットをかぶって、現場で体を動かす。

駐車場の仕事を手伝うこともある。

だからといって、ITの仕事を諦めたわけではない。

顧問先の仕事もあるし、新しい相談も少しずつ増えている。

ただ、ITの仕事だけを机の前で待つような働き方ではなくなってきた。

午前中に顧問先を回り、別の日には建設現場へ行く。

その合間にホームページを直し、家へ帰ってからAIを使って資料を作る。

昔の僕には、あまり想像できなかった働き方だ。

何屋なのか、決めなくてもいい

以前なら、自分はシステム屋なのか、Web屋なのか、コンサルタントなのか、
どれか一つに決めようとしていた。

今は、そこを無理に決めなくてもいい気がしている。

お客さんから見れば、僕の肩書きより、困ったときに相談できるかどうかの方が大事だからだ。

開発が必要なら開発する。

AIでできるならAIを使う。

僕が作らなくても、お客さん自身でできるなら、その方法を伝える。

ホームページの修正だけなら、その場で直す。

ITとは関係のない仕事を頼まれれば、できる範囲で手伝う。

そんな働き方になってきた。

奪われた仕事もあれば、残っている仕事もある

コンペに負けた。

僕が担当する予定だった開発も、AIでなくなった。

でも、ITコンサルとしての仕事までなくなったわけではない。

むしろ、作ることだけを仕事にしていた頃より、相談される内容は広がっている。

AIによって仕事を奪われた部分もある。

AIのおかげで、自分一人で扱える仕事が増えた部分もある。

建設現場へ行く日もある。

顧問先でAIの相談を受ける日もある。

一日の中で、その両方をやることもあるかもしれない。

何屋なのかと聞かれると、相変わらず答えに困る。

でも最近は、働き方なんて、こんなふうに変わっていくもの
なのかもしれないと思っている。