連載|地方企業のリアルIT相談室|第25回

昔の最適解が、今も最適とは限らない。

先日、お客様先でシステムの話をしていた時のことです。

「社内のナレッジ共有ってどうなっていますか?」

そんな話の流れで、担当者の方が画面を開いてくれました。

「あ、これで管理しています。」

画面を見て、思わず声が出ました。

「えっ、まだPNE使ってるんですか?」

OpenPNE。

今の若い人だと、名前すら知らないかもしれません。

社内SNSやナレッジ共有の仕組みとして、結構使われていたシステムです。

当時は、

「情報共有で会社が変わる。」

「ナレッジを蓄積すれば組織は強くなる。」

そんな話をよく聞いた時代でした。

今で言えば、TeamsやSlackのような存在だったのかもしれません。

だから、「まだ使ってるんですか?」と驚いたものの、「古いからダメだよね」
とは思わなかったんです。

だって、その頃は最先端だったんですから。

むしろ、あの頃はみんなワクワクしていました。

新しいことをやれば会社が変わるんじゃないか。

もっと働きやすくなるんじゃないか。

そんな期待があった気がします。

とはいえ、

「触ると壊れそうだからそのまま。」

「担当者しか分からない。」

「今さら変えるのも怖い。」

そんな状態になっているのも事実です。

中小企業の現場では、本当によくあります。

正直に言うと、

「いやいや、まだ動いてるの?」

って苦笑いしてしまいました。

でも、その瞬間に思ったんです。

いや、待てよ。

僕が駆け出しの頃なんて、AS/400が当たり前だったじゃないかって。

製造業も卸も、基幹システムといえばAS/400。

黒い画面に緑色の文字を見ながら仕事をしていました。

あの頃は、それが最先端でした。

そして今は、ChatGPTをどう使えばいいのかという相談を受けています。

振り返ってみると、その時々で「これが次の正解だ」と言われるものがありました。

でも、不思議なんです。

AS/400はまだ現役だったりする。

FAXもなくならない。

Excelなんて、相変わらず現場の主役です。

新しいものが出てきたからといって、古いものが全部なくなるわけじゃないんですよね。

だから、「古いから悪い」とも思わないし、「新しいから正しい」とも思いません。

たぶん問題なのは、

「昔の最適解を、今も最適解だと思い込んでしまうこと。」

なんだと思います。

昔はベストだった。

でも、今の業務に合っているのか。

今の人員で運用できるのか。

担当者が変わっても回るのか。

それを考えなくなった時に、少しずつ無理が出てくるのかもしれません。

逆に、新しいものなら何でもいいわけでもありません。

流行っているから。

みんな使っているから。

AIだから。

そんな理由だけで飛びついて、現場が混乱することもあります。

変えないリスク。

変えすぎるリスク。

どっちもあるんですよね。

で、ここまで書いておいて何なんですが。

PNEを見て、「化石みたいだな」なんて思った僕自身も、十分化石なんですよ。

AS/400の画面を見て育って。

ホームページを作りませんかと営業して。

今はAIの話をしている。

若い人からしたら、

「そんな時代があったんですか?」

なのかもしれません。

でも、それでいいんだと思います。

昔の選択を否定しない。

新しいものも頭ごなしに否定しない。

その時代、その会社、その現場で、本気で考えて出した答えだったはずですから。

そういえば、うちにも担当者しか触れないExcelがあるな。

ホームページも何年もそのままだな。

最近、システムの話なんてしていないな。

もしそんなことが頭に浮かんだなら、一度見直してみるタイミングなのかもしれません。

だからこそ、大切なのは、

「今の自分たちに合っているか。」

を考え続けること。

そして、そんなことを一緒に考えてくれる人と組むこと。

何を導入するかも大事だけれど、

誰と組むか。

困った時に相談できる人がいるだけで、会社の選択ってずいぶん変わる気がします。

もしかしたら、二十年後には、

「えっ、まだChatGPT使ってるんですか?」

なんて若い世代に笑われているのかもしれません。

その時、僕もきっと、

「いやぁ、昔は最先端だったんだよ。」

なんて言いながら苦笑いしているんでしょうね。

……なんてことを、今日も現場を走りながら考えていました。