地方企業のリアルIT相談室 第69回

失敗しない人を育てるのではなく、
失敗できる環境を作る

失敗そのものより怖いのは、
失敗を言えなくなる環境かもしれません。

先日、お客様と話をしていて、こんな会話になりました。

「若い社員が失敗を隠すんですよね。」

この言葉を聞いて、僕は技術の問題じゃないなと思いました。

失敗を隠す人が悪いのではなく、隠したくなる環境になっていないか。

そこを考える方が大切なんじゃないかと思うんです。

若い頃に教わった一つの判断

僕が若い頃から大事にしている考えがあります。

すぐ動く

時間が経って
大きくなること

判断
あえて待つ

時間が経てば
収まること

ITの現場では、この見極めが本当に重要です。

サーバー障害、メールトラブル、情報漏えいの可能性。

こういうものは一分でも早く動かなければ被害が広がります。

逆に、その場の感情や小さな行き違いまで全部すぐ触ると、
かえって問題を大きくしてしまうこともあります。

「今すぐ動くべきか」

「少し様子を見るべきか」

この判断は、経験の積み重ねなんですよね。

失敗を責めると、報告がなくなる

会社でも家庭でも同じです。

失敗した瞬間に怒られる環境では、人は挑戦しなくなります。

正確には、挑戦しなくなるんじゃない。

失敗を隠すようになります。

「すみません、設定を間違えました。」

この一言が早く言える職場は、トラブルも小さく済みます。

でも、怒られるのが怖くて黙ってしまうと、気付いた時には何倍もの問題になっている。

現場で何度も見てきた光景です。

人を育てるんじゃない

僕は「人を育てる」という言葉が少し苦手です。

育てるというより、その人が挑戦できる環境を作ること。

01

挑戦できる

02

失敗しても戻れる

03

困ったと言える

失敗しても戻ってこられる環境を作ること。

困った時に「どうしよう」と言える空気を作ること。

大人や上司の役割は、そこなんじゃないでしょうか。

子どもだって同じです。

転ばないようにすべてを先回りして取り除くことが優しさではありません。

転んだ時に、一緒に立ち上がれる環境があること。

その方が、ずっと大切だと思っています。

AI時代だからこそ

AIは答えを教えてくれます。

エラーの原因も、解決策も提案してくれます。

でも、

「今すぐ動くべきか」

「少し待つべきか」

そこまでをAIに任せることはできません。

現場を見て、人を見て、判断するのは人です。

新しい技術を学ぶことは大切です。

でも、それ以上に大切なのは、失敗を恐れず挑戦できる環境を作ること。

AI時代だからこそ、そんな当たり前のことが、
これからもっと価値を持つような気がしています。