壊れた時、誰に電話しますか?
クランクプーリーが壊れて、改めて考えた「IT保守」の役割
先日、僕の車のクランクプーリーが破損した。
走れなくなったので、当然レッカーをお願いすることになる。
最初は自動車保険についているロードサービスに連絡した。
ところが、ちょうど豪雨の影響が重なっていて、
いつ来られるのか分からないという。
そこでJAFにも連絡してみた。
結果としては、保険のロードサービスよりJAFにお願いした方が早かった。
さらに、いつもお願いしている修理工場も車が目いっぱい入っていて、
運べたとしても、いつ修理に取り掛かれるか分からないという。
故障した。
でも、すぐには運べない。
運べたとしても、すぐには直せないかもしれない。
こうなると、自分ではもうどうにもできない。
そこでふと、
これってITのトラブルとよく似ているなと思った。
契約しているから安心、とは限らない
今回、自動車保険にはロードサービスがついていた。
だから最初は当然、そこにお願いすればいいと思っていた。
でも、実際にはJAFにお願いした方が早かった。
もちろん、いつでもJAFの方が早いという話ではない。
その時の状況によって違う。
ただ、今回あらためて感じたのは、
「サービスを契約していること」と
「いざという時にすぐ使えること」は、
必ずしも同じではない。
これもITではよくある。
サーバーのサポート契約がある。
パソコンにはメーカー保証がある。
回線にも問い合わせ窓口がある。
クラウドサービスにもサポートがある。
だから安心。
そう思いたくなる。
でも、トラブルが起きた時に、
そこへ聞けばすぐ解決するとは限らない。
問い合わせ窓口が混んでいるかもしれない。
訪問対応は数日後かもしれない。
そもそも、その会社の担当範囲ではないかもしれない。
そんな時に、
「じゃあ次はどこへ聞くか」
を知っている人がいるだけで、かなり違う。
壊れたら直せばいい、では済まない
パソコンが壊れた。
ホームページが表示されない。
メールが届かない。
ネットにつながらない。
そんな時、
「壊れたなら直せばいい」
と言ってしまえば、それまでだ。
でも実際には、そんなに単純ではない。
まず何が原因なのか分からない。
パソコンなのか。
ルーターなのか。
回線なのか。
サーバーなのか。
メールサービスなのか。
WordPressなのか。
プラグインなのか。
原因が分からなければ、誰に連絡すればいいのかも分からない。
そして、連絡先が分かったとしても、
すぐ対応してもらえるとは限らない。
今回の車もそうだった。
ロードサービスをお願いしても、
豪雨の影響ですぐ来られるとは限らない。
別の手段としてJAFに連絡したら、その方が早かった。
修理工場まで運べたとしても、
工場にはすでにたくさんの車が入っている。
連絡先を知っている。
運べる。
直してもらえる。
これらは全部、別の話だった。
ITも同じだと思う。
トラブルというのは、原因そのものだけではなく、
その後の手配まで含めて困るものだ。
何も起きていない時は、価値が見えにくい
ITの保守という仕事は、何も起きていない時ほど分かりにくい。
ホームページは普通に表示されている。
メールも届く。
パソコンも動いている。
ネットもつながっている。
そういう時に、
「IT担当って必要なの?」
と思われるのも、ある意味仕方がないと思う。
毎月お金を払っているのに、特に何も起きない。
そう見える。
でも、本当に困るのは何か起きた時だ。
今回の車だってそうだった。
タイヤを替えた。
バッテリーも替えた。
ブレーキパッドも替えた。
それでも今度はクランクプーリーが壊れた。
全部新品にしておけば故障しないのかもしれない。
でも、そんなことをしていたら現実的ではない。
ITも同じだと思う。
すべて最新にして、全部二重化して、
バックアップも完璧にして、予備のパソコンも用意する。
そこまでできれば理想だ。
でも、中小企業ではなかなかそこまでお金はかけられない。
大事なのは「誰に電話するか」
だから僕は最近、
「何も起きないようにすること」だけが保守ではない
と思っている。
もちろん、事前に防げるものは防いだ方がいい。
バックアップも必要だし、
更新も必要だし、
セキュリティ対策も必要だ。
でも、それでもトラブルは起きる。
そしてトラブルが起きた時には、
直す技術だけではなく、
「次にどう動くか」
が必要になる。
保険のロードサービスがすぐ動けないなら、JAFに聞いてみる。
ITなら、サーバー会社が違うなら回線業者かもしれない。
回線でなければパソコンかもしれない。
メーカー対応を待つより、
別の方法で業務を続けた方がいい場合もある。
そんな判断をしてくれる人がいる。
「まず、あの人に聞こう」
そう思える人がいるだけでも、ずいぶん違う。
僕が昔から「ITよろず相談」のような仕事をしているのも、
結局そこなのかもしれない。
会社のことを知っている人
前回も書いたけれど、
会社のことを知っているというのは意外と大きい。
どんなパソコンを使っているのか。
メールはどこを使っているのか。
ホームページはどこに置いてあるのか。
ドメインはどこで管理しているのか。
誰が何のサービスを契約したのか。
こういうことは、普段はたいした話ではない。
でも、トラブルが起きた瞬間に重要になる。
「誰が契約したのか分からない」
「IDとパスワードが分からない」
「前の担当者しか知らない」
こんな話は、本当によくある。
トラブルの原因を直す前に、
そこから調べなければならないこともある。
だから僕は、
「会社のことを知っている人」も、立派なIT保守の価値だ
と思っている。
何も起きないのが一番いい
もちろん、何も起きないのが一番いい。
車も壊れない方がいい。
パソコンも壊れない方がいい。
ホームページも止まらない方がいい。
でも、残念ながら機械もシステムもいつかは何か起きる。
そして、いざ何か起きた時、
契約しているサービスがすぐ動いてくれるとは限らない。
お願いする業者がいっぱいかもしれない。
必要な部品がすぐ手に入らないかもしれない。
その時に、
「さて、どうしよう」
から始めるのか。
それとも、
「まず、あの人に電話しよう」
と思えるのか。
その差は意外と大きい。
今回、クランクプーリーが壊れた。
豪雨の影響で、保険のロードサービスがいつ来られるか分からなかった。
そこでJAFにお願いしたら、その方が早かった。
さらに修理工場もいっぱいで、いつ直せるか分からない。
そんな状況になって、改めて思った。
トラブルというのは、壊れた瞬間だけが問題なのではない。
そこから先をどう動くか。
誰に相談するか。
一つの方法が駄目なら、次にどこへつなぐか。
そこまで含めて対応なんだと思う。
IT保守というと、
更新作業やバックアップ、セキュリティ対策ばかりが注目される。
でも本当は、
そこまで含めて保守なのかもしれない。
何も起きていない時には、
なかなか見えない仕事だけれど。
ITのトラブルは、起きてから初めて見えてくることが少なくない。
そして実際に起きてしまうと、
原因を調べるだけでなく、誰に連絡するのか、
どの方法を選ぶのか、業務をどう継続するのかまで考える必要がある。
だからこそ、困った時だけではなく、
困る前から相談できるIT担当でありたいと思っている。
大がかりなシステム導入だけがIT支援ではない。
パソコンのこと、ホームページのこと、メールのこと、
ネットワークのこと。
「これ、どこに聞けばいいんだろう」
そんな時に最初に声をかけてもらい、
必要であれば専門業者やサービスへつなぐ。
そうした会社の身近なIT担当として、
これからも中小企業の現場を支えていきたいと思う。
