地方企業のリアルIT相談室 第61回

AI時代だからこそ、人としての土台を考える

AIを使えることも、パソコンに詳しいことも大切です。
でも、会社で長く信頼される人に必要なのは、それだけではありません。

先日、お客様と話をしていて、こんな相談を受けました。

今の時代、何を基準に人を採用したらいいですか?

資格でしょうか。

経験でしょうか。

AIを使いこなせることでしょうか。

もちろん、どれも大切です。

ただ、30年以上この業界で仕事をしてきて思うのは、それだけではないということです。

パソコンは覚えられます。

システムも、仕事をしながら覚えられます。

AIだって、実際に使っていれば少しずつ慣れていきます。

でも、人としての土台は、マニュアルを読んだだけでは身につきません。

技術より先に必要なもの

僕は小学校低学年の頃、次の三つを教わりました。

01

思いやる心

02

奉仕の心

03

感謝の心

子どもの頃は、正直それほど深く考えていなかったと思います。

でも、長く仕事を続け、多くの人と一緒に現場を経験してきた今なら、
この三つの大切さがよく分かります。

困っている人に声を掛けられる。

自分の担当ではなくても、必要なら手を貸せる。

誰かに助けてもらったことを、当たり前だと思わない。

こうしたことができる人は、技術力とは別のところで信頼されます。

仕事では、うまくいかない時の姿が見られる

今なら、この三つにもう二つ加えたいと思っています。

04

折れない志

05

挫折を乗り越える精神力

仕事は、いつもうまくいくとは限りません。

システムが止まることもあります。

お客様から厳しい言葉を受けることもあります。

一生懸命提案しても、仕事につながらないこともあります。

そんな時に、その人の本当の姿が見えます。

失敗を隠すのか。

誰かのせいにするのか。

それとも、状況を受け止めて次に進もうとするのか。

失敗しないことよりも、失敗した後にどう動くかの方が大切です。

我慢させれば強くなるわけではない

僕が野球をしていた頃は、今では考えられないような指導もありました。

真夏の炎天下でも、水を飲ませてもらえない。

頭がクラクラしながら、それでも試合で守備についていました。

今なら危険な指導ですし、同じことを繰り返すべきではありません。

我慢させれば、人が強くなるという話でもありません。

ただ、苦しい時でも簡単に投げ出さず、もう一度やってみる経験は必要だと思います。

失敗しないように周りがすべて取り除いてしまえば、
失敗から立ち上がる方法を学ぶ機会もなくなります。

大切なのは、ただ耐えさせることではありません。

失敗した時に話を聞き、何が悪かったのかを一緒に考え、
もう一度挑戦できる環境をつくることです。

AIは仕事を助けても、人間までは育てない

AIは、知識を教えてくれます。

文章を考え、資料を作り、仕事の時間を短くしてくれます。

分からないことがあれば、すぐに調べることもできます。

でも、AIが仕事を助けてくれることと、人間を育てることは別です。

人を思いやる心。

助けてもらったことへの感謝。

誰かのために動こうとする気持ち。

失敗した後に、もう一度立ち上がる強さ。

こうしたものは、人との関わりや実際の経験の中で
身につけていくしかありません。

最後に選ばれるのは、やはり人

AIを使える人が珍しい時代ではなくなってきました。

これからは、AIを使えること自体が特別な能力ではなくなっていくと思います。

だからこそ、その人がどんな姿勢で仕事に向き合うのかが、
今まで以上に大切になります。

技術は、あとから身につけられます。

でも、信頼は一日ではつくれません。

採用でも、社員教育でも、新しい技術を教えることだけに目を向けるのではなく、
人としての土台をどう育てるかを考える必要があります。

新しい技術を追いかけることも大切です。

でも、その前に人としての土台がある。

最後にお客様から選ばれるのも、会社から信頼されるのも、やはり人です。

AI時代だからこそ、そんな当たり前のことを、もう一度考えてもいいのではないでしょうか。