いい言葉といい写真は、単体ではなく“セット”で効きます。
目的・構成・整え方・手持ちのデバイス対応――これまで積み上げた土台の上に、「伝わる」表現をのせていきましょう。

昨日の打ち合わせで、お客様がふと漏らしたひと言が印象的でした。
「同じ内容なのに、このページは読みたくなるんですよね」。
見比べると、違いは派手なデザインではありません。言葉の順番と、写真の“目線”でした。
読む人の時間は忙しく、ページは流れるように見られます。
だからこそ、文章と写真は“いっしょに”設計する。今日のテーマはここに尽きます。

本稿はシリーズの続きです。まだの方はぜひ、以下の記事もご覧ください。
第1回|Web制作の目的を、もう一度考える
第2回|構成と導線設計が9割
第3回|デザインよりも“整える力”
第4回|手持ちのデバイス対応と“読みやすさ”設計

“読みたくなる文章”は、最初の三行で決まる

文章は“正確さ”よりもまず“入口”です。最初の三行で、読む理由とゴールを提示しましょう。
たとえば「何の悩みを」「どんな変化に導くのか」。抽象は短く、具体は早めに。
ここは第1回でお伝えした「目的」に直結します。目的が言語化できていれば、冒頭は自然に引き締まります。

また、“一文一義”を徹底すると、手持ちのデバイスでも読み疲れが減ります。
接続詞を減らし、主語と述語の距離を近く。比喩は控えめに、具体例は一つで十分です。

段落は“カメラワーク”――視線の移動を設計する

段落は、文の塊ではなく“視線の切り替え”です。
第2回で触れた導線と同じく、段落の頭に要点を置き、結びで次の段落へのフックを残します。
見出しは「要約」ではなく「誘導」。読む人が流し見でも道筋を失わないよう、見出し=道しるべにします。

微細な話ですが、三行以上の段落が続いたら一度“呼吸”を。
余白は文章の一部です。読むスピードをこちらでコントロールできます。

写真は“無言の本文”――トーンと目線をそろえる

写真は飾りではなく無言の本文です。
伝えたい感情に合わせて、明るさ・彩度・背景の情報量をそろえます(第3回参照)。
人物写真は“目線”がすべて。見る人と同じ高さに合わせるだけで、距離が縮まります。

もう一つ効くのがキャプション
10〜20文字で「何を見ればよいか」を指定すると、記憶への定着が跳ね上がります。
Before/Afterなら、見せたい差分に矢印を添える。撮るときの構図は「中心・余白・視線」。
余白を怖がらないことが、むしろ“プロっぽさ”につながります。

コピー × 画像の“同時設計”でコンバージョンは変わる

ファーストビューは、キャッチコピーとビジュアルの同時設計が基本です。
先に画像を決めてから言葉を当てるのではなく、第2回で紹介した「導線設計」の順番どおり、
まずストーリーを描き、その“動詞”に合わせて写真の動きを設計します。

ボタンのラベルは名詞ではなく動詞で。
「資料」より「資料を受け取る」、「問い合わせ」より「無料で相談する」。
手持ちのデバイスでの操作性も意識し、視線の“流れ”に沿って配置します(第4回参照)。

読み手の時間に寄り添う“編集”という仕事

文章と写真は、書く・撮るだけでは終わりません。最後に必ず編集を。
三つのチェックで十分です。
① 冒頭三行で読む理由がわかるか。
② 見出しだけ読んでも要点が拾えるか。
③ 写真とキャプションが“同じこと”を言っていないか(どちらかは「補う」役割に)。
これだけで体験は確実に整います。

そして公開後は、問い合わせや会話の“生の言葉”を拾って追記する。
コンテンツは、社内で完結させず、現場との往復で磨かれていきます。

ご相談ください

文章と写真を“セット”で設計すると、読み手の時間が味方になります。
冒頭三行・見出しの道しるべ・キャプションの一言――小さな整え方で成果は変わります。
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