連載|地方企業のリアルIT相談室 第36回

やりました、で終わらせない。

先日、お客様のところへシステムの納品確認に伺いました。

システムの動作を確認して、使い方をご説明して終わる。

そんな予定だったんです。

ところが、気が付けば話題はシステムではなく組織の話になっていました。

その会社で管理職になられた方が、こんなことを話してくれました。

「自分が動く方が楽なんですよ。」

その一言を聞いて、僕も会社員時代を思い出しました。

管理職を任された頃は、自分でやった方が早いと思うことが何度もありました。

でも、それでは組織は育ちません。

任せること。

待つこと。

人を育てること。

それが管理職の仕事なんですよね。

ただ、あの頃とは時代が違います。

働き方も変わりました。

価値観も変わりました。

AIが仕事を手伝ってくれる時代になり、部下との接し方も昔とは大きく変わっています。

今の管理職は、僕たちの頃とは違う難しさがあるんだろうなと感じました。

そんな話をしている中で、もう一つ印象に残った言葉があります。

「もう少し踏み込んだものを作っていかないとね。」

この一言に、とても共感しました。

言われたものを作る。

頼まれたことをこなす。

それも仕事です。

でも、それだけでは「やりました」で終わってしまいます。

本当に現場で役に立つのか。

もっと使いやすくできないか。

もっと会社の役に立てないか。

そこまで考えて初めて、価値のある仕事になるんだと思います。

気が付けば、納品確認の話は終わっていました。

二人で「やりました感だけの仕事は、お互い時間の無駄ですよね。」
なんて話で盛り上がっていました。

最近はAIのおかげで、文章も資料もプログラムも、以前とは比べものにならないくらい
早く作れるようになりました。

便利になったことは間違いありません。

でも、昨日話していたのはAIのことではありませんでした。

「この会社なら、ここまでやろう。」

「現場のために、もう一歩踏み込もう。」

そんな発想は、AIが考えることではありません。

その会社を知り、その会社が好きで、もっと良くしたいと思う人だからこそ生まれるものです。

話を聞いていて感じたのは、会社愛でした。

会社を良くしたい。

現場を良くしたい。

働く人に喜んでもらいたい。

その想いがあるから、「これでいい」とは終わらない。

だから仕事にも深みが出るんでしょうね。

僕もホームページやシステムを作っています。

でも、言われた通りに作るだけでは終わりたくありません。

「こちらの方が使いやすいですよ。」

「この運用なら、もっと効果が出ますよ。」

そんな提案をすることがあります。

それは、お客様の会社を少しでも良くしたいと思っているからです。

AIはこれからもっと進化していくでしょう。

仕事のスピードも、さらに速くなると思います。

でも最後に仕事の差を生むのは、AIでも技術でもありません。

「この会社をもっと良くしたい。」

その気持ちを持っている人です。

昨日は、そんなことを改めて考えさせられた一日でした。

さてと、今から現場へ向かいます。